宮城県(牛タン県)にいると言われる妖怪一覧

  • ウミニョウボウ

海の怪。海女房。三陸海岸で男たちが漁に出たが、戻ってこない。女房たちが案じていると、あるとき大きな風呂敷包みを持った女がたずねてきた。物売りかと思ってそれどころではないというと、女は笑いながら包みをほどいた。中から男の生首が五つほど転げ出た。女は「わたしが殺したのではなく、時し化けで溺れ死んだ者たちの首を持ってきてやったのだ」といったという。

  • ウミボウズ

海の怪。海坊主。気仙沼市大島。夜、舟をこいでいた男に、美女に化けて出て泳ぎの競争を挑んだという。

  • オイデギツネ

動物の怪。おいで狐。江戸隅田川辺の真崎神社の森に住みつき、茶屋の主人が揚豆腐を持って「おいでおいで」というと、あたりにいくら人がいても出てきた。寛かん政せい四年、茶屋の十二歳の娘に憑き「月は露露は草葉に宿りけり夫それこそ爰ここよ宮城野の原」という松島の雲居寺に伝わる歌をのこして故郷へ帰った。

  • カッパ

水の怪。河童。黒川郡粕川。堰せきにいて駒を引いた。ザンギリ頭の?せた子供で、捕まえられて詫びの印に布に手判を押した。

  • カラキガエリ

音の怪。空木返り。刈かつ田た郡宮村遠刈田(蔵王町)木地屋部落。夕方薄曇りの日などに、奥山で木を伐る音がするが、地面に倒れる音はしない。

  • キツネノカイ

動物の怪。狐の怪。島流しにあった人の笛にひかれて、十四、五歳の子に化けて近寄った。しかし狐捕りの名人が島に上陸して自分を捕まえることを察知、一千年を経た狐であることを打ち明けた。笛の名人に源平合戦のようすを見せ、捕まったあと笛を吹けば島流しの罪は許されると告げる。のち、すべては狐の予言通りとなったという。

  • ザシキワラシ

家にいる怪。座敷童子。登と米め郡南みな方かた町。屋根葺き替えが終わった日の夕方、十二、三歳くらいの少女が、丘に架け渡してある足代板の上を自由自在に走り回っていた。同郡登米町には二足四足のもの、特に鳥肉、卵を食わぬ家系がある。もしそれらのものを食うと、奥座敷で唸うなるものがある。これは四、五歳くらいのワラシだという)。

  • ジンベイサマ

海の怪。金きん華か山さん沖。首尾もわからないほど大きく、船の下に入って船を支えていることもある。下を見ると水が淡く光っている。竿さおでその光の所在を突くと沈むという。これが出ると鰹かつおは大漁だという。

  • タンタンコロリン

木の怪。仙台市。古い柿の木が化けた大入道。柿をとらずに熟させたままにしておくと出る。

  • ネコノカイ

動物の怪。猫の怪。長閑のどかな春の日、侍たちが外庭で弁当をつかっていると、紅の首輪をした子猫が胡こ蝶ちようにたわむれている。あまりにかわいいので焼き飯を一つ投げ与えると、さっと来て口にくわえたとたん、古来から城に住む大猫となって逃げ去った。

  • ホウソウババ

山の怪。疱瘡婆。七ケ浜大須。疱ほう瘡そうで死んだ子の墓をあばいて食う。鉄砲に追われて山に逃げた。逃げ道の一丈五、六尺ばかりの柴木立が左右に分かれ、分かれたあとは二、三年ももとにもどらなかった。背一丈あまり。頭の白髪はふさふさとしており、顔は赤く面は婆で目の輝きは恐ろしいほどであったという。

  • ムジナノカイ

動物の怪。貉の怪。ある侍が狩りで山に宿った。夜明けがた、戸口に妻が寝巻姿で立っている。これは変へん化げだと鉄砲で撃ち止めた。しかしいつまでたっても妻の姿は変わらない。里に戻って妻を見れば変わりがなく、家来にいいつけて見にいかせたところ、古ムジナが撃たれていたという。

  • モウレイビ

火の怪。亡霊火。牡鹿郡女おな川がわ町。夜間、漁船航行の際、突然その前面に帆船などが現れる。衝突を避けようとすると、また前面に現れる。しかたなく船をとめて凝視すると、たちまち船形を失い燐りん火かが遠く疾走する。海上遭難者の亡霊と信じられ、漁夫は大いに恐れる。

  • ユキオンナ

雪の怪。雪女。山形との境、面白山峠付近でマタギが会ったという。峠の暗い夜道で二十メートル前方に人を見たそのマタギの父は「話を交わすな、顔も見るな」といった。こわごわと袖の下からのぞくと赤い縞しま模も様ようらしい着物をつけた、顔の白い女だった。家に帰ってから父は「あれは雪女で言葉を交わすと食い殺される」といった。